健康生活よもやま話

健康生活に関するお話を、
薬剤師・管理栄養士が紹介します。

笑いの効用

笑うことと免疫の関係をご存知でしたか?
世の中には、驚かされることがたくさんあります。

●笑いで起こった奇跡
 アメリカのノーマン・カズンズというジャーナリストは、30年以上にわたり、アメリカ有数の書評誌「サタディ・レビュー」の編集長を務めていました。1964年、彼は硬直性脊椎炎(膠原病の一種)という病気にかかります。この病気は、全身の激しい痛みを伴い、現在でも難病で治療法はありません。
 そこで、いろいろな文献や資料を調べ行った治療が、「笑い療法」とビタミンCの大量投与でした。お笑い番組やコメディのフィルムを病室に持ち込んでは、観て大笑いしていたようです。面白ビデオを10分間見て、腹を抱えて笑うと少なくとも2時間は痛みを感じずに眠れていたようです。半年でもとの編集長に復帰し、笑いで難病を克服したという非常にまれな一例です。

●笑い療法学会が発足
 その後、アメリカでは1982年に医師や心理学者を中心に「笑い療法学会」が発足し、医療における「笑い」の効用が本格的に研究されています。この学会では、以下のことが確認されています。

(1)ユーモアや笑いは、ナーシングホームの人々の健康づくりに貢献する作用がある
(2)大笑いは内臓のジョギングとも言われ、適度な運動に匹敵する効果があり、リラックスすると自律神経の働きが安定する
(3)鎮痛作用をもつエンドルフィンが脳内で増加し、痛みを忘れてしまう
(4)右脳が活性化され、ストレスで左脳を使う人にとってリラックス効果がある

●日本でも研究が始まる
 日本でも、同様の研究が行われています。笑いの効果の一例としては、血糖値を下げる、慢性関節リウマチの人の手や足の痛みを和らげる、がん細胞と闘うナチュラルキラーセル(NK細胞)の機能を活性化するなどが知られているようです。

 さらには、月に一度「病院寄席」を開いている医療機関もでてきました。脳梗塞などの脳血管障害で入院している患者さんを対象に、笑いが脳にどんな変化を及ぼすか調査をしています。脳の血の流れをカラー画像で見るSPECTという装置を用い、脳の数箇所を測定し、寄席の前後で血流量を比較しています。

 結果は、22名中、14名が増加、5名が低下、3名が測定場所でまちまちというものでした。落語が面白かったと感じた人は増加して、笑わなかった人が低下していたようです。

●笑う看護師がナンバーワン
 大阪の大学病院で看護師さんの人気ランキングを調べたところ、一番人気があったのは、よく笑う人であったそうだ。日本でも、ストレス解消を目的に、看護師ら職員に「笑いが取れる」話術の指導を実施しようという医療機関もあるようです。

 まだまだ効果には未知の部分も多そうですが、笑わせることで少しでも健康維持ができるのであれば、お安いものではないでしょうか。

「笑う門には福来る」

                薬剤師:高橋 寛