健康生活よもやま話

健康生活に関するお話を、
薬剤師・管理栄養士が紹介します。

フィトンチッドは植物が造る自然の薬

 桜も葉桜に変わり、街中では若葉も芽生え、新緑の訪れを予感させています。今回は植物が作り出すお薬の話です。

●フィトンチッドとは

 植物が外敵から身を守るために作り出す成分を”フィトンチッド”と呼びます。名前の由来はロシア語からきており、「植物からでる揮発成分は殺菌作用がある」という意味のようです。つまり、植物が傷つけられた際に出し、殺菌力があるため微生物の繁殖を抑えたり、腐敗を防ぐなどの揮発性の物質です。植物は、これらの成分を幹や葉から大気中に放出しています。

●日常に使われている

 例を挙げれば、桜餅の桜の葉、柏餅の柏の葉などは抗菌作用があり、ヒノキや青森ヒバなどは防虫作用、防腐作用があります。このようにさまざまな用途で日常的に利用しています。

●防虫の樟脳もフィトンチッド

 防虫剤として古くから使われているものに樟脳(しょうのう)があります。医療分野では別名カンフル(カンファー)とも呼ばれており、作用としては、血流促進作用や鎮静作用、消炎作用があるため、湿布などの外用剤に含まれています。他には衣類の防虫剤、防腐剤としても用いられています。

●天然の樟脳の作り方

 この樟脳は、現在では松脂由来のテレビン油から合成(合成樟脳)することができますが、天然品は楠(くすのき)を原料にして作ります(天然樟脳)。根や幹、小枝の切片や葉を水蒸気蒸留すると樟脳原油とともに泥状結晶が留出し、これを濾取(ろしゅ)すると粗製樟脳ができます。これをさらに分溜、昇華などの工程を経て精製樟脳が出来上がります。現在では、この天然樟脳を作っているのは、日本では一軒しかないようです。(福岡県みやま市)

 もちろん、同じ原理で簡単な実験装置を用いて、樟脳を作り出すこともできます。

●臨床でも使われているフィトンチッド

 臨床で使用されているお薬の中に、胃の粘膜を守る胃薬の成分にテプレノンというお薬があります。この成分は植物が作り出すフィトンチッドの研究から生まれました。

●他の効果

 フィトンチッドの他の効果としては、消臭効果、精神安定効果、アレルギー疾患の予防などがわかってきています。

●フィトンチッドを効果的に浴びれる季節

 植物のフィトンチッドが空気中に最大に発散する季節が6月~8月です。天気が晴れた日には、お近くの森林でも散歩してみてはいかがでしょうか?植物が作り出すさまざまな成分を体一杯に浴びてみませんか?

天然樟脳(樟脳師)
http://www.jaero.or.jp/data/03syuppan/genshiryokubunka2007/bunka0705takumi.html

実験装置で樟脳を作る
http://www.educ.city.ibaraki.osaka.jp/center/science/2002/5/camphor.htm

                  薬剤師:高橋 寛