落ち葉が風に舞う季節、冬はもうすぐそこまで来ていますね。 冬になると、クリスマス、お正月、年末年始の忘年会・新年会など、様々なイベントが目白押し。家族や友人、地域や職場の人など、誰かと共に食事をする機会が増えると思います。 一人で食事をすることを「孤食(こしょく)」と呼ぶのに対し、誰かと共に食事をすることは、「共食(きょうしょく)」といいます。
共食の良さと言うと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。近年の研究で、共食が心身に与える様々な影響が分かってきています。共食は内閣府でも推進しており、食育における重要な要素として位置づけられています。
日本の小・中学生を対象とした、共食が心身にどのような影響を与えるのかという研究では、共食の頻度の高い方が、食物摂取状況が良好であり、さらに、精神的な健康状態も良いという結果が出ました。食物摂取状況が良好とは、ご飯、魚、野菜などをよく食べることであり、このバランスの良い食事が、心身共に良い影響を与えていると言えるでしょう。 米国の中学・高校生を対象とした研究でも、共食頻度が高いほど野菜・果物の摂取量が多いほか、成人期の食物・栄養素摂取の良好さにも関連しているという結果が出ています。子どもの頃の共食の習慣が、成人以降の健康的な食習慣に結びついているのです。成人における共食頻度と食事内容、欠食との関係の調査でも、共食が良い結果をもたらす要因となっており、日本の高齢者における調査では、家族とともに食事をすることが食事の満足度を高めることが分かりました。
このように共食が様々な良い影響を与えるのは、以下の三つのメリットからだと考えられます。
①複数の人たちの食欲を満たすため、工夫・調整を行うことで、味や栄養面のバランスが良好になることです。一人で食事をする時、自分の好きなものばかり選んでしまうことはないでしょうか。孤食の時は一人の食欲を満たす食事内容で良いのですが、家族のように世代や健康状態、食べ物の好みが異なる人々との共食では、それぞれが満足するように、様々な食材や調理法を組み合わせ、食事内容を工夫する必要があります。
②ともに同じ食卓を囲むことで、会話が弾み、コミュニケーションが円滑に行われることです。地域の住民が集まる飲み会や、職場での懇親会など、昔から私たちは無意識のうちに食事をコミュニケーションの手段として利用しています。また、子どもと食べる食事であれば、その中で食事マナーや食材の活用の仕方など、食育も行われます。一人では避けてしまいがちな食材も、他の人がおいしそうに食べているから自分も食べてみようといった、好き嫌いの改善にも繋がります。
③楽しさです。楽しい食事は満足感につながり、精神面にも良い影響を与えます。 しかし、いくら一緒のテーブルを囲んでいても、食事中テレビに夢中になったり、常に携帯電話をテーブルの上に置いて電話やメールに気を取られていては本当の共食とは言えません。食卓の上には余計なものは置かないようにし、ともに食卓を囲む人との会話を楽しみましょう。
家族一緒に食事を作ったり、友人同士でいろいろな食事を持ち寄ったり、準備も楽しいのが共食です。
そこで今回はクリスマスにぴったりなメニューとして、ミートローフのレシピを紹介します。クリスマスだけではなく、お正月に、おせち料理の合間に作ってもいいですよね。オーブン調理なので失敗も少なく、焼いている間にもう一品作ることもできます。
みんなでおいしい料理を囲んで、楽しい冬を過ごしましょう。
ミートローフ(パウンド型1台分)
・合いびき肉 400g
・玉ねぎ 1/2個
・パン粉 カップ1/2
・牛乳 カップ1/2
・卵 1個
・ミックスベジタブル 80g
・ウスターソース 大さじ2
・塩・胡椒 少々
・ゆで卵 3個
1.ボウルに合いびき肉、みじん切りした玉ねぎ、パン粉、牛乳、卵、ミックスベジタブル、ウスターソース、塩・胡椒を入れてよく練る。
2.オーブンを180度に予熱する。パウンド型にオーブンシートを敷き、1を半分入れる。平らにならし、ゆで卵を均等に並べる。1の残りを上に加えて隙間ができないように詰める。
3.180度で25分焼く。竹串を刺し、赤い肉汁が出てこなければ完成。型から外して切り分ける。
参考文献
「家族との共食について、これまでわかっていること 及び海外における共食推進の取り組み事例」
女子栄養大学栄養学部食生態学研究室 武見ゆかり・衛藤久美 内閣府・食育推進評価専門委員会 2012.4.24
「食育の現状と意識に関する調査報告書」内閣府 平成21年度
高齢者の食生活の実態―男性と女性の比較― 楠原清里、河野篤子 2003.12
画像:http://www.photo-ac.com/