2016.10.17 健康生活よもやま話

花粉症の新しい治療薬

[執筆者]

佐野薬局保戸野千代田町店 管理薬剤師 亀屋 守克

近年花粉症の方が増えています。ある調査では、全国で29.8%の人に花粉症が認められたという結果が報告されています。多くは「スギ花粉症」で、花粉症の方の約90%にものぼると言われています。今春「花粉症シーズン到来 食事で予防とケアを」と題したコラムを載せました。今回は春から症状の出てくるスギ花粉症を根治できるかもしれない新しい薬についての話題です。

昨年発売された新しい薬による治療は「アレルゲン免疫療法」や「減感作療法」と呼ばれています。これはアレルギーの原因であるアレルゲンを少量から服用して体を慣らしていき、鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどのアレルギー症状をやわらげます。この治療はこれまでも注射により行なわれていましたが、注射の痛みや長期間注射を続けなければならないなど大変で、一部の専門医のみで行なわれていました。新しい薬は1日1回舌下に投与するだけでよいため、今後普及していくことが期待されています。

実際の治療は1日1回一定量のスギ花粉のエキスを舌下に投与します。始めの2週間は薬の量を少しずつ増やしていき、3週目以降は決まった量を投与していきます。効果を得るには最低2年程度、その効果を持続させるには3~5年くらい投与を継続する必要があると言われています。

長期間にわたりきちんと服用できると、花粉症による鼻水や鼻づまり、目のかゆみなどのつらい症状の改善だけでなく、これまで花粉症の時期に使用していたお薬の使用量をおさえられる可能性があります。

治療は花粉が飛散している時期には始めることができません。今からであれば12月くらいまでに開始する必要があります。また、花粉症の原因である花粉自体を服用するため、場合によってはアレルギー反応を起こし、アナフィラキシーと言われる副作用が出ることもありますので注意が必要です。

また、この薬は登録されている医師しか処方できません。治療を行っている医療機関はインターネットで確認することができます。つらい花粉症に悩まされている方は相談してみてはいかがでしょうか。

参考資料:トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ:http://www.torii-alg.jp/

画像:http://www.irasutoya.com/