いつまでも美味しく食べて健康でいるために「歯」は欠かせません。
しっかり噛むことで唾液の分泌も促され、胃や腸での食べ物の消化・吸収もよくなります。近年では様々な研究結果から、歯の健康とからだの健康の関係性がわかってきています。
歯周病とからだの病気
歯周病は口の中の細菌の感染による炎症性疾患で、歯を失う大きな原因となります。歯周病で歯を失うと、からだ全体に大きな影響が及びます。さらに、歯周病が全身のさまざまな病気に関わっていることがわかってきています。
♦心内膜炎
心臓の内膜に歯周病菌が付着すると心内膜炎という心臓病をひきおこすことがあります。
また、歯周病菌が動脈硬化をおこしている血管に付着すると血管を狭める作用を促進すると考えられています。動脈硬化をおこしている血管の細胞から歯周病菌が検出されているとの報告もあります。
♦糖尿病
糖尿病の人は、免疫力が低下して、歯ぐきの炎症がおこりやすくなるため、糖尿病が歯周病をもたらし、悪化させると言われています。さらに、歯周病がひどくなると、炎症によって出てくる物質のひとつ(TNF-α)がインスリンの働きを妨げて、糖尿病の状態を悪化させると言われています。
♦肺炎
肺炎は肺にウイルスや細菌などが感染して肺に炎症が起こる病気です。食べ物や唾液が誤って肺に入っておこる「誤嚥性肺炎」をおこした人から、歯周病菌が多く見つかっていることから、歯周病菌が誤嚥性肺炎の重大な原因の一つと考えられています。
♦認知症
認知症には、脳血管性とアルツハイマー型の2種類があります。脳血管症性認知症の場合は、動脈硬化を防ぐことが大切なポイントとなります。歯周病菌が動脈硬化を促進させることがありますので、歯周病を予防することで認知症予防にもつながります。
また脳の萎縮が見られるアルツハイマー型でも、残っている歯が少ない人ほど脳の萎縮が進んでいたという報告があります。歯周病を予防し歯を保つことで認知症予防につながると言われています。
♦骨粗鬆症
骨粗鬆症は、骨の密度が減ってすかすかになり骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症の人が歯周病になると歯を支える骨が急速にやせてしまうと言われています。また、歯周病で歯を失うと噛む力が衰え、食事によって得られるカルシウムも不足することになり、さらに骨を弱くしてしまう悪循環を招いてしまいます。
♦その他にも歯周病は胎児の低体重・早産、肥満・メタボリックシンドロームなど多くの病気に関わっています。
では、どのようにしたら歯周病を予防できるのでしょうか?
歯周病の二大原因は、
➀歯ぐきや顎の骨への歯周病菌の感染(歯石や歯垢内の歯周病菌が歯ぐきの組織を破壊し、骨を溶かしてしまう)
➁歯を支えている歯ぐきや顎の骨への過度な力(歯ぎしりやくいしばり、アンバランスな咬み合わせや歯並び、間違った歯磨きなどで、強い力がかかりすぎて、歯ぐきや骨が弱ってしまう)
と考えられています。正しい歯磨きやデンタルフロスをして、お口の衛生を心がけ、定期的に歯科を受診し、歯石除去や咬み合わせをチェックしてもらったりすることは歯周病の予防につながります。
健康で長生きするためにも歯を大切にし、お口の健康を心がけましょう。
参考:
財団法人8020推進財団 歯周病予防で健康力アップ:http://www.8020zaidan.or.jp/