皆さんは「睡眠負債」という言葉をご存知でしょうか。昨年2017年のユーキャン新語・流行語にもノミネートされた言葉ですのでご存知の方もいらっしゃるのではないかと思います。今回はこの睡眠負債も含めた睡眠のお話です。
◆睡眠負債
睡眠負債とは、睡眠不足が借金(負債)のように溜まることによって生じる蓄積した睡眠不足の事です。必要な睡眠時間よりも実際の睡眠時間が少ないと、睡眠不足が負債として溜まっていきます。例えば、8時間の睡眠が必要な人が毎日6時間しか睡眠をとらないと、毎日2時間ずつ睡眠負債がたまっていきます。この睡眠負債は8時間以上睡眠をとらないと返す(返済する)ことができません。日中に眠気を感じる人は、睡眠負債があり、眠気はその睡眠負債を返そうとしている体からのサインの可能性がります。
睡眠負債をためないようにするためには1日7~8時間くらいの睡眠時間が必要だといわれていますが、現在の日本では国民の約40%が6時間未満の睡眠時間です。睡眠負債は注意力や運動能力を低下させることが示されており、仕事のパフォーマンスの低下や学業成績の低下などの問題につながる可能性があります。
◆睡眠負債が溜まると認知症に!?
脳は私たちの体の中で最も活発に働いている臓器の一つです。そのため老廃物もたくさん出ますが、この老廃物の除去は睡眠時に多く行われます。認知症の多くを占めるアルツハイマー型認知症は、この老廃物がアミロイドβとして脳に蓄積することが主な原因の一つと考えられています。つまり、睡眠時間が不足し睡眠負債が溜まっていくと、脳の老廃物の除去がしっかりと出来ず、認知症になる危険性が高まる可能性があるということです。
◆良い睡眠をとるために
睡眠負債が溜まっている場合、その睡眠負債を返す唯一の方法はもっと睡眠をとることです。しっかりと睡眠をとるために以下の事を心がけるとよいでしょう。
・適度な運動習慣で眠りやすい体をつくる
・しっかりと朝食を摂り就寝前の食事は避ける
・就寝前に暗い部屋でスマートホンや携帯電話を操作しない
・寝酒をしない
・就寝前の4時間はカフェインの摂取を控える
・就寝前の1時間は喫煙を控える
参考資料
睡眠負債 NHKスペシャル取材班 朝日新書
健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働省