暑かった夏も終わり日に日に気温が下がるにつれ温泉が恋しくなる季節になりました。温泉は体に良いとよく言われますがなぜでしょうか。今回は温泉についてのお話です。
「温泉」と呼ばれるもののうち決められた成分と量を含み治療を目的とされる場合は療養泉と呼ばれ、その泉質により塩化物泉や炭酸水素塩泉、硫黄泉などと分類されています。
温泉の体に良い効果としては、温泉そのものの効果や温泉以外からもたらされる効果があげられます。
・化学成分による効果として、例えば塩化物泉(食塩泉)は名前のとおり塩分が含まれて、その塩分濃度が高いと保温効果が高くなり湯冷めしにくい泉質です。筋・関節痛、打撲、ねんざ、冷え症などに効果があります。一番数が多い単純温泉は含有成分がどれも規定量に達しない温泉ですが、その分刺激が少なく湯あたりしにくい万人受けする温泉で名湯が多くなっています。また、疲労回復や神経痛、不眠症などに効果があり、お湯のpH値が弱アルカリ性の場合は肌を滑らかにします。このように泉質により適応症が異なるため、自分の症状にあった泉質を選ぶようにすると効果的です。
・物理的効果として、全身入浴では浮力の作用により体重は1/10になり、普段体を支えている筋肉や関節の負担が減り、リラックスすることができます。温泉地では浴槽が広く手足を思いっきり伸ばせるので開放感があり、よりリラックス効果が高いでしょう。また、湯の中では全身に水圧がかかります。この天然のマッサージ効果により血行を促進されて足の疲れやむくみを取り除きます。さらにお湯の温かさが血行や新陳代謝を促進して老廃物を排出します。温泉ではこの作用がとても強く、体を温めることは病気の予防にも大切なことです。
・温泉そのもの以外の効果としては、日常生活・ストレスからの開放や、温泉地の地形、気候、紫外線やイオン、気圧や森林浴効果などの自然環境が身体によい影響を与えると考えられます。また、規則正しく栄養のバランスを考えた食事や健康状態や年齢に応じた適切な運動が身体によい影響を及ぼします。
温泉にはこのように化学的成分や物理的効果と温泉地にやって来た開放感などが総合的に作用してストレスを解消し人間が本来持っている自然治癒力を高めてくれます。皆さんも体調や好みにあったピッタリの温泉を探してみてはいかがでしょうか。
参考資料
温泉と健康 阿岸祐幸著 岩波新書
日本健康開発財団HP:http://www.jph-ri.or.jp/
日本温泉協会HP:https://spa.or.jp/
環境省HP:http://www.env.go.jp/