2019.02.28 健康生活よもやま話

びんぼうゆすりのススメ?!

[執筆者]

すず薬局 大宅店 管理薬剤師 池本 忠嘉

病院や薬局の待合にいるときや、電車の中、あるいはオシャレなカフェでお茶をしているときなどに、どこからともなく、「カタカタッ、カタカタッ・・・」という小刻みな音やゆれを感じることはありませんか?(もしくは、ご自身がゆれていることも・・・)

他の人の貧乏ゆすり、気になって仕方がないものですが、実は意外な効果も報告されています。今回は「貧乏ゆすり」についてご紹介します。

◆貧乏ゆすり

 そもそも、貧乏ゆすりとは何かというと、無意識に足を揺らしたり、震わせることです。ストレスや気温など諸説ありますが、はっきりとは解明されていません。海外でもマナーが良くないとマイナス印象の多い動作ですが、「貧乏」と名前が付くのは日本だけです。昔、足をゆすると貧乏神に取りつかれてしまうという迷信があったり、借金取りが足をゆすっていた、寒さで貧しい人が震えていたなどから「貧乏ゆすり」と名前がついたようです。

◆貧乏ゆすりの意外な効果

①寿命が伸びる?

 ロンドン大学の研究チームが発表した論文によると、1日中座りっぱなしでいることは早期死亡のリスクを高めること、しかし、貧乏ゆすりをすることで、同じ時間未満しか座ってない人よりも早期死亡リスクが下がることを発表しました。さらには、BMIや血糖値に関係する指標も貧乏ゆすりをしていた方がより良い数値がでていることも合わせて述べられています。

②足の痛みに貧乏ゆすり?

 整形外科領域において、貧乏ゆすりが治療の一環として用いられることもあります。

「ジグリング」と言われ、磨り減った股関節の軟骨を再生し、痛みを軽減するともいわれおり、実際に手術ができなかった方に、ジグリング療法を行うことで改善した例も報告されています。

③血栓の予防にも?

 航空会社の情報でも、エコノミー症候群(深部静脈血栓症)の予防として、足を定期的に動かすことが推奨されています。ただし、この時は普段の貧乏ゆすりのように小刻みにするのではなく、ゆったりしっかりと大きく動かすことが重要です。

1.足を上下に爪先立ちさせる(貧乏ゆすりと同じ動きをゆっくりと)

2.つま先を引き上げる

3.ふくらはぎを軽く揉む

と行ってください。

◆さまざまな効果も報告されている貧乏ゆすり、実践方法がいろいろあったり、効果に個人差があったりしますが、行うこと自体にデメリットは特にありません。足は第二の心臓ともいわれるくらい血液の循環に重要な役割を担っています。周りに人がいるときには、振動や音で気になったりすることもありますので、是非、家でお一人の時、テレビを見ながらでも、ゆすってみてはいかがでしょう。

参考資料

American Journal of Preventive Medicine 2016 Feb;50(2):154-60

整形外科と災害外科 65(3), 389-395, 2016

日本航空ホームページhttps://www.jal.co.jp/health/flying/#yobou

画像:https://www.irasutoya.com/