2019.10.01 健康生活よもやま話

肴の美味しい季節だから…、 お酒の適量のお話

[執筆者]

トキワ薬局 薬局長 鈴木 隆之

厚生労働省は21世紀における国民健康づくり運動「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」を以下の様に定義しています。
『一日平均純アルコールで20グラム程度』
今回は純アルコール20グラムのお話です。
程よいお酒はこころに潤いを与えてくれますが、ご承知のようにお酒は飲み方によって様々な悪影響を来たしてしまうことがあります。意識状態の変容や急性アルコール中毒、慢性摂取による臓器障害、依存、妊婦を通じた胎児への影響、アルコール乱用による本人の収入減、交通事故…、など多岐にわたります。世界保健機関の報告によると飲酒は60以上もの病気や外傷を引き起こしていると言われています。
悪影響ばかりを取り上げてしまいましたが、健康へのプラスの影響の研究結果も多数報告されており、それが「一日平均純アルコールで~」に繋がっているのです。わが国でもいくつか大きな研究がおこなわれていますが、そのうちの一つ、40~79歳の男女約11万人を9~11年間追跡した研究では、総死亡でみると男女ともに1日平均23グラム未満(日本酒約1合未満)で最もリスクが低いとする結果が報告されています。非飲酒者に比べて少量飲酒者のリスクがむしろ低く、飲酒量が増えればリスクが高くなるという「Jカーブ」の関係が認められました。この関係は総死亡数の他、虚血性心疾患・脳梗塞・2型糖尿病などで認められており、飲酒の健康面での利点とされています。
では、純アルコール20グラムを目安に晩酌をしましょうね!
と言われても、ビールだと?酎ハイのストロングだと?どれだけ飲んでいいのかイマイチ見当が付きませんね。
そこで、お酒を純アルコール量に変換する方法をご紹介します。

お酒の量(ml)× アルコール度数(%)/100 ×0.8(比重)= 純アルコール(グラム)
例えば、
・毎晩飲んでいる6%の発泡酒500mlは
500ml× 6%/100 ×0.8=24グラム(純アルコール)
・流行りの9%ストロング酎ハイを350ml缶1本飲むと
350ml× 9%/100 ×0.8=25.2グラム(純アルコール)

けっこう簡単に適量を超えてしまいました。「もう1杯!」といきたいところですが、その時は健康面での利点を思い起こして下さい。
また一般的に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅いようです。女性やフラッシング反応を起こす方、高齢の方は飲酒量を控えることをおすすめします。
日本では古くから「酒は百薬の長」と言われてきています。上手にお付き合いをしていきたいですね。

厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/index.html
厚生労働省e-ヘルスネット:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/
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