連日のニュースでも取り上げられているように、新型コロナウイルスが発生しマスクが不足している状況となっています。わからないことが多く不安を感じている方も多くいらっしゃるかと思いますが、正しい感染予防の方法について皆様はご存じでしょうか?
そこで今回は、ウイルス感染の予防にマスクは有効なのか、また効果的な感染予防の方法についてお話をしていきたいと思います。
◆マスクの効果
自分自身が感染しないようにマスクをつけなくてはと考えているかたもいらっしゃるかもしれません。しかしマスクによる感染予防効果については、限定的であるというのが医療従事者のなかでは一般的です。
マスクが最も効果を発揮するのは咳やくしゃみのある人がマスクをつけた場合です。1回の咳で約10万個、くしゃみでは約200万個のウイルスを放出すると言われています。そこで患者がマスクをつけることでこれらを含んだしぶきによる周囲の汚染を減少させることができるのです。
感染していない方がウイルスに感染しないためにマスクをつけても、顔とマスクとの間に隙間があるため、ウイルスを含んだ飛沫の吸入を100%防ぐことはできません。ただし、患者の近くで看病するなど咳やくしゃみのしぶきを直接あびる可能性がある場合には予防効果があると考えられます。
またCDC*¹が策定している、とあるガイドラインにおけるマスクの位置づけは、咳やくしゃみによる飛沫をブロックすることで、感染者から健常者への伝播を防ぐ物理的バリアであるとしています。
*1 CDC:アメリカ疾病管理予防センター
◆どうやったら感染を防げる?
では感染予防のために私たちができることはなんでしょうか?
それは一般的な衛生対策である手洗い・うがいです。また咳やくしゃみをする時にマスクやハンカチ・袖で口と鼻を覆うこと(これを咳エチケットと言います)も大切です。
一部のウイルスは、ウイルスの付着した物に手で触れた後、鼻や目を触ることで体内に侵入してきます。そのため帰宅時や咳・くしゃみを手で抑えた後、食事の前などこまめに手洗いを行うことで感染のリスクを減らすことができます。
マスクの付け方にもポイントがあります。咳・くしゃみの時にしぶきが飛ばないように鼻とあごをしっかりと覆いましょう。もし症状があるがマスクが手に入らないという場合には、ハンカチやティッシュなどの代替品を使用し、周囲にしぶきが広がらないようにしましょう。
これらのことは自分自身への感染を防ぐとともに、周囲への感染拡大を防ぐためにもとても重要なことなのです。
全国的に感染が広がり、マスクが不足している状況はしばらく続くと予想されます。
不安な状況ではありますが、症状のある人や医療の現場など必要な人に必要な数が供給されるよう、過剰な購入はせず、手洗い・うがい、そして咳エチケットなど効果的な感染予防策を実践していきましょう。
参考文献:
吉田製薬:Y’s Letter Vol.4.No.8 日常的なマスク着用による感染予防効果について
CDC:Community Mitigation Guidelines to Prevent Pandemic Influenza – United States, 2017.
画像:いらすとや;https://www.irasutoya.com/