骨粗しょう症という病気があります。これは加齢や生活習慣など様々な理由により、骨密度が低下して、骨が脆くなる病気です。あまり自覚症状がないこともあり、いつの間にか症状が進行し、尻もちをつくなどの刺激で骨折してしまう危険性もあります。
「エストロゲン」という女性ホルモンの影響が大きいことから、女性に多く見られます。エストロゲンは、骨の新陳代謝や健康を維持する重要な役割を担っています。ところが、50歳前後の閉経を迎える時期になると、エストロゲンは急激に低下していきます。そうなると、骨の新陳代謝のバランスが崩れ、骨を再構築するよりも溶かす方が優位になり、骨がスカスカな状態になり骨粗しょう症が発症しやすくなります。
女性の発症割合としては、50代では10人に1人、70代では3人に1人、80代では2人に1人とされています。しかし骨密度の低下は高齢の方だけに起こるものではありません。若い方であっても、生活習慣の乱れにより骨密度の低下を促してしまう危険性があります。
10代の時にしっかりと骨量を増やして一生を支える骨の土台を作り、20代以降もその骨量をできるだけ維持していく取り組みこそが、「骨活」です。それでは、どのような取り組み、対策があるかご紹介致します。
〇食事
・1日に必要なエネルギー量をしっかりと摂取する。たんぱく質、カルシウム、カルシウムの体内吸収を助けるビタミンDを多く含む食品(鮭、サバ、干しシイタケ、など)を一緒に摂取する。
・過度なダイエットでの食事制限は、月経不順を招く場合も。月経不順になるとエストロゲン分泌が減り、若い方であっても骨密度が低下することも。その為、バランスの良い食事を心掛ける。
・40~50代等、特にエストロゲンが低下し始める年代の方は、納豆、豆腐、がんもどきなど大豆製品がおすすめ。カルシウムが豊富なうえ、女性ホルモンと似た作用のある大豆イソフラボンを含んでいるため、骨粗しょう症対策にはうってつけ。
※お薬を服用されている方は、服用薬との相互作用となりうる食材もありますので、必ず医師、薬剤師へご相談ください。
〇運動
・荷重負荷のかかる運動が骨を丈夫にする。スポーツとしては、バスケットやバレーなど、競技中にジャンプをよくする競技がおすすめ。
・ジョギング、ウォ―キング等の運動習慣をもつのも有効。外で運動することで適度に日光浴をすると、ビタミンDが合成され骨を丈夫にするための手助けになる。
・まとまった運動時間が取れない方は、生活の中で体を動かせる工夫や取り組みを。(例として、エスカレーターより階段を利用、可能な距離は歩いて移動、洗濯物を干すときにスクワットや背伸び運動する 等)
・ただし、過度な運動は、エネルギー不足や月経不順を招き、骨密度の低下の原因となるため注意を。
〇生活習慣
・適度な日光浴は先述したように、骨粗しょう症対策として効果的です。そのため、過度な紫外線対策は骨を脆くしてしまうことがあるため注意を。可能であれば夏なら30分程度、冬なら1時間程度の日光浴を。
・喫煙は骨に悪影響を与え、骨密度を低下させる。禁煙を心がけよう。
〇骨粗しょう症検診
・40歳を過ぎたら、各自治体で実施されている骨粗しょう症検診や、病院で受けられる骨密度検査を定期的に受け、自分の骨密度をチェックしておくのがおすすめ。もし骨密度が低下気味であれば、早めに対策をたてることが出来る。
「骨粗しょう症」=「高齢者の病気」と決めつけず、どんな年代の方であっても、もちろん男性の方でも、生活習慣の乱れにより、骨密度が低下してしまう危険があること理解していただくことが大切です。無理のない自分自身の生活リズムに合わせた「骨活」を心がけ、元気で健康な「骨」とともに、楽しく人生を歩んでいきましょう
参考:
厚生労働省 骨粗しょう症予防 骨活のすすめ:https://www.smartlife.mhlw.go.jp/event/honekatsu/
画像:いらすとや:https://www.irasutoya.com/