2025.08.04 健康生活よもやま話

夏バテしない体をつくりましょう

[執筆者]

佐野薬局大船店 薬局長 松浦 知幸

梅雨が明けると、強烈な日差しと蒸し暑さが続く日本の夏。本格的な暑さに体がついていかず、「なんとなくダルい」「食欲がない」「やる気が出ない」といった不調を訴える方が増えてきます。これがいわゆる「夏バテ」です。今回は、薬剤師の視点から、夏バテを防ぐためのセルフケアと、上手な市販薬やサプリメントの活用法についてご紹介します。

  1. 夏バテの原因とは?
    夏バテは医学用語ではありませんが、以下のような複数の要因が重なって起こります。
    •高温多湿による自律神経の乱れ
    → エアコンを使用した室内と外気の温度差が大きいと、体温調節を担う自律神経が疲れてしまいます。
    •水分・ミネラル不足
    → 汗とともに失われる水分と塩分が補えないと、だるさや頭痛、食欲不振の原因になります。
    •消化機能の低下
    → 冷たい飲食物のとりすぎや、食事の偏りで胃腸の働きが弱まり、疲労が抜けにくくなります。
  2. 薬剤師からの対策アドバイス
    ■ 食事の工夫
    •ビタミンB群やたんぱく質を意識的にとる
    → 夏は食欲も落ち食事が偏りがちになりますが、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB1(豚肉・うなぎ・豆腐など)をしっかりとりましょう。疲労回復にも役立ちます。
    •冷たいものの摂りすぎに注意
    → 冷たい飲み物・食べ物は胃腸を冷やし、消化不良の原因になります。常温の飲み物や温かい汁物を意識すると良いです。
    ■ 水分補給のポイント
    •「喉が渇く前」にこまめに水分補給
    → 一度にがぶ飲みするのではなく、1日を通じて定期的に補給しましょう。運動や外出時は塩分も含んだ経口補水液やスポーツドリンクの活用も有効です。
    ■ 睡眠と入浴で自律神経を整える
    •寝苦しい夜が続くと疲れが取れません。快眠のための環境づくり(適切な室温、通気性の良い寝具)も重要です。
    •シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯(38〜40℃)で入浴すると副交感神経が優位になり、体が休まります。
  3. 市販薬・サプリメントの上手な活用法
    ■ 漢方薬
    •補中益気湯(ほちゅうえっきとう):夏バテによる疲労や食欲不振に。体力が低下している人に向いています。
    •六君子湯(りっくんしとう):胃腸の弱りが中心の人に。冷たいものを摂りすぎた後の消化不良などにも効果があります。
    ※服用の際は、体質に合っているか薬剤師に相談しましょう。
    ■ サプリメント
    •ビタミンB群、マグネシウム、クエン酸など、夏の疲労対策に効果が期待される成分があります。食事で補えない場合は上手に取り入れましょう。
  4. 薬剤師からのひとこと
    「夏バテ」は放置すると、免疫力の低下や感染症リスクの上昇にもつながります。まずは生活習慣を見直し、体に負担をかけすぎない工夫を心がけましょう。薬やサプリに頼るのではなく、“必要な時だけ、正しく使う”ことが大切です。気になる症状や市販薬の選び方について、ぜひお気軽に薬剤師へご相談ください。

参考リンク(参照情報)
•厚生労働省|健康づくりのための睡眠指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
•日本OTC医薬品協会|夏バテ対策に使えるOTC医薬品
https://www.jsmi.jp/selfmedication/advice/s_natsubate.html
•大塚製薬|経口補水液OS-1とは
https://www.otsuka.co.jp/nutraceutical/products/os-1/
•ツムラ|補中益気湯について
https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/041.html
•e-ヘルスネット|ビタミンB1の働き 
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-027.html
•画像:Freepik-WaterDrinkingIllustration