2014.08.18 健康生活よもやま話

秋田の塩文化

[執筆者]

佐野薬局本店 管理栄養士 鈴木 咲

まだまだ残暑が厳しく、過ごし辛い日々が続いています。涼しい秋の訪れが待ち遠しいですね。さて、秋といえば「食欲の秋」。そこで今回は食にまつわるお話として、秋田県民に多くなりがちな食塩についてお話ししたいと思います。

食塩摂取量の現状

秋田県民の食塩摂取量は年々減少傾向にありますが、目標とする10g未満には未だ及ばず、成人あたり1日11.1gといわれています(健康秋田21計画評価)。これは全国平均の10.4gよりも多く、秋田県民にとっての大きな課題ともなっています。秋田県では、平成34年までに成人の食塩摂取量を8.0gにすることを目標にしています。

隠れた食文化のワナ

ではなぜ、秋田県民の食塩摂取量は多くなっているのでしょうか?

年間を通して日照時間が少なく、豪雪地帯でもある秋田県では、昔から食を長期保存するための知恵として、「塩」が用いられてきました。塩には防腐作用があり、食材が腐ったり、痛んだりするのを防ぐ効果があります。馴染み深い、いぶりがっこしょっつるハタハタ寿司等の郷土料理は、その知恵をうまく利用し私たちの食卓に強く根付いてきたものの一つでもあります。これらの味に慣れ親しんだ秋田県民の食事は、必然的に塩分の過剰摂取につながっていたのではないでしょうか。

生活にひそむワナ

秋田県では現在、減塩に向けた取り組みとして県や市による無料の減塩講習会や学校での減塩授業の開催など、県を挙げて減塩活動に取り組んでいます。一般的に家庭で気にされがちなのは、食塩やしょうゆ、味噌などの調味料に含まれている塩分ですが、実際に私達が摂取している塩分の半分以上は、外食加工食品から摂取される塩分となっています。

となると家庭の調理でいくら塩分を減らしても、外食やコンビニエンスストア、加工食品の利用が増えていては、なかなか減塩することは難しいということになります。

すぐに食べたいもの、欲しいものが手に入る便利な時代にはなってきましたが、その裏にひそむワナも見逃さないようにしなければなりませんね。

参考文献:

秋田県・公益財団法人塩事業センター http://www.shiojigyo.com/a040encyclopedia/encyclopedia4/encyclopedia4_2area/map04/

健康秋田21計画の評価 http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1209185565899/index.html

減塩後進国ニッポン http://www.nhk.or.jp/sakidori/backnumber/120617.html

秋田県栄養士会 http://www.akita-eiyou.or.jp/genen/genen.htm