前回の「秋田の塩文化」では日常の食塩摂取量の半分以上が外食や加工食品からの摂取ということをお伝えいたしました。
今回は食事からだけではなく医薬品からも食塩が摂取されていることをお話しいたします。
食べ過ぎ・胃もたれ・飲みすぎなどに服用される市販の○○胃散・△△胃腸薬などの健胃消化剤には、弱った胃の働きを良くする生薬や消化を助ける消化酵素、胃酸を中和する制酸剤などが配合されています。
健胃消化剤には胃酸を中和する目的として「炭酸水素ナトリウム」が配合されている製品があります。
「炭酸水素ナトリウム」とは何でしょう?
山菜のアク抜きや汚れ落としとして掃除に使う「重曹」のことです。
この炭酸水素ナトリウムは胃の中で胃酸と反応することにより「塩」を生成しますので、食べ物から食塩を摂取した事と同じ事になってしまうのです。
では、どのくらいの食塩を摂取したことになるのでしょうか。
製品ごとに含まれる炭酸水素ナトリウムの量は異なりますが、1日量の服用により約0.6g~1.3gの食塩を摂取することになります。
食事からの食塩を合わせると1日の摂取量が増えてしまいます。
高血圧で治療している方や血圧が高めの方など、減塩を心掛けている方には
炭酸水素ナトリウムを含まない健胃消化剤をお勧めいたします。
食塩の換算式
炭酸水素ナトリウム量(mg)×0.7=食塩量(mg)
参考文献
OTC医薬品事典
鹿児島市医報第52巻