2014.11.17 健康生活よもやま話

「塩と健康」

[執筆者]

佐野薬局中央店 管理栄養士 菊地 楓

冬へ向け日増しに寒さが身に染みるこの頃、温かい鍋料理のおいしい季節になりました。

よく煮えたお肉や野菜を食べているうちに、ついつい汁まで飲み…後から喉が渇いてしまった経験はないでしょうか。しょっぱいものを食べた後は、なぜ喉が渇くのでしょうか。

今回は塩の体における働きと、摂りすぎがもととなって引き起こされる高血圧についてのお話です。

・人の暮らしと塩

塩は、調理においては塩味をつけたり、貯蔵に使用したりと、暮らしに深く結びついてきました。(8月の健康生活よもやま話参照)

塩の役割は味つけや保存だけではありません。体の中に入ってからも、①体液の塩分濃度の調節、②体液のph値の調節、③栄養素の消化・吸収の補助、④筋肉の動きや神経の伝達の補助といった、生きていく上で欠かせない重要な働きをしています。

しょっぱいものを食べると喉が渇くのは、①の体液の塩濃度の調節が関わっています。

塩はナトリウムとして体の中に吸収されると、血液中のナトリウム濃度が上昇します。血液中のナトリウム濃度を適正な値に戻すため、水分で薄める必要があります。だから喉が渇くのです。また、腎臓は尿としてナトリウムを排泄します。

・高血圧の仕組み

しかし、塩分の高い物を多く摂取し続けると、体液量の調節は追いつかず、常にナトリウム濃度の高い状態が続きます。それを薄めるために体内の水分が血液中に集まり、その血液を押し流そうと、血管の壁には高い力が加わります。

塩の取りすぎは高血圧を助長させる、とはよく言われていることですが、このような仕組みになっているのです。

・ナトリウムは塩以外にも?

塩の成分名は塩化ナトリウムであり、ナトリウムと塩素からなっています。ナトリウムという言葉は食品表示などで目にする機会も多いと思います。ナトリウムは塩以外にも、魚や肉、といったあらゆる食品に含まれています。意外なところでは薬にも含まれています。(10月の健康生活よもやま話参照)

・おいしく付き合っていく為には?

毎日の食事、また健康の為にも欠かせない塩。しかし摂りすぎてしまうと健康を損ねることにも繋がりかねません。健康で長生きするためにも、適切な量の塩とおいしく上手に付き合っていく方法を考えていきましょう。

1月の管理栄養士の健康生活よもやま話ではその方法についてお話していきます。

また、今期のさのハチだより(佐野薬局だより)でも塩をテーマとした情報を載せております。

ぜひご覧ください。

参考文献:「ヘルシーダイアリー2014」公益社団法人 日本栄養士会