2020.09.08 健康生活よもやま話

医薬分業とは?

[執筆者]

山王佐野薬局 薬局長 鎌田 弘

医薬分業とはどのような仕組みでしょうか。
「お医者さんが発行した処方箋を持って薬局に行き薬をもらうことでしょ」「何だか二度手間で面倒くさい仕組みだよね」「病院やクリニックによっては直接薬をもらえるところも」「医薬分業は医療費が増えるなんてことを聞いたことがあるから、この仕組みの良さが分からない」こんな感じを抱きながら薬局で薬を受け取っている方がいたとしたら、私たち薬剤師は反省しなければなりません。医薬分業は薬剤師制度のルーツでもあると言われています。

医薬分業は薬の処方と調剤を分離して、医師、薬剤師というそれぞれの専門家が分担して行うことを意味しています。ヨーロッパでは800年近い歴史があり、神聖ローマ帝国のフリードリヒⅡ世(1194~1250年)が毒殺を怖れて、主治医の処方した薬を別の者にチェックさせたのが始まりと伝えられています。 1240年には5ヵ条の法律(薬剤師大憲章)を定め、医師が薬局をもつことを禁じました。これが医薬分業と薬剤師制度のルーツとされています。
秋田県は令和元年度の集計結果でも日本一の医薬分業率(88.9%)です。最も低いのは福井県で53.9%となっています。また、世界を見てみると、先進7カ国(G7)の中で完全医薬分業を行っていない国は日本だけです。様々な要因により進んでいない現状にありますが、薬局にいる薬剤師が来局される方々に信頼され本来の目的を実感して頂く以外には進まないと考えています。私たち薬剤師が本来行うべき専門家としての関わりにより、日本でも完全なる医薬分業が実現することになると確信しています。
皆様が、かかりつけ薬局・かかりつけ薬剤師を決めることにより、お薬のことだけではなく、健康食品(サプリメントなど)や健康、介護などのさまざまな相談を気軽にできるようになります。複数の医療機関を受診している方にとっては、決まった薬局にいるいつもの薬剤師に担当してもらうことで的確で確実な説明を得ることができ、医薬分業の目的を実感してもらえるはずです。

参考 日本薬剤師会 https://www.nichiyaku.or.jp/
画像:いらすとや https://www.irasutoya.com/