2020.10.26 健康生活よもやま話

有酸素運動について

[執筆者]

佐野薬局桜店 薬局長 小林 慎太郎

皆さんは有酸素運動と言うと、何が真っ先に思いつきますか?
多くの方は散歩やウォーキング、ランニング、水泳などと答えるのではないでしょうか。
答えは半分正解です。有酸素運動と無酸素運動の違いは運動負荷にあります。
軽~中等度の負荷で長時間できる運動が有酸素運動と言われ、様々な生活習慣病の原因を予防・改善する効果があると言われています。

短時間で高い負荷をかける運動が無酸素運動です。同じ散歩やウォーキング、ランニング、水泳でも短時間で全力を出して行うと無酸素運動になります。無酸素運動は短い時間しか続けることができませんが速い運動や大きく力を出す速筋を鍛えることができます。転倒を減らすことにもつながり、健康や体力の維持のためには欠かせない運動といえます。
一方、有酸素運動は、酸素を使って筋肉を動かすため身体に蓄えられている脂肪を燃焼させることができます。血圧が上がりにくく、怪我や事故のリスクも低く、比較的安全に実施でき、体を動かすための体力や持久力が身につきます。肥満に起因する糖尿病や動脈硬化といった疾患になるリスクの軽減が期待できます。また、体を動かすことによりストレス発散、夜に眠りやすくなるといった効果までついてきます。
まとまった時間がとれない方は、何回かに分けて行うことで長時間運動と大差ない効果が得られるとの研究結果があります。生活習慣病を予防することを考えると、「中等度の有酸素運動を少なくとも週5日、または高強度の有酸素運動を少なくとも週3日、あるいは中等度と高強度の有酸素運動を組み合わせた週3~5日の運動が推奨される」となっています。中等度の強さの運動は、自身がきついと感じない程度で、心拍数は1分間100~120拍以内、50歳以上の方は100拍以内が目安となります。ウォーキングでは、1回15~30分間、1日2回、1日あたり1万歩が目安です。自分の体調や体力に合わせてマイペースで行うこと、あまり距離や時間にこだわりすぎないこと、ウォーキングの前後にウォーミングアップとストレッチを行うこと、適度な水分補給をすること、などを心がけましょう。
ウォーキングやラジオ体操などは初めての方でも取り組みやすく継続しやすいのではないでしょうか。ただし普段から運動習慣が無い方は急に行わず、受診している方は主治医へ確認してから行いましょう。有酸素運動を含めて体を動かすことは無理なく行うことが大切です。まずは少ない時間、軽い負荷で今日から運動を始めてみませんか?

参考文献
e-ヘルスネット(厚生労働省) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
公益財団法人長寿科学振興財団HP https://www.tyojyu.or.jp/
協和キリン株式会社HP https://www.kyowakirin.co.jp/index.html
画像:イラストや https://www.irasutoya.com/