2021.10.05 健康生活よもやま話

スポーツとお薬

[執筆者]

佐野薬局御野場店 管理薬剤師 長岡 智子

スポーツは、健康を維持するために不可欠なものです。また気分転換やストレス解消にも役立っています。生活習慣病等の予防や疾患治療のため、お薬を服用しながら運動をしている方も多いのではないでしょうか?今回は、生涯を通して安心してスポーツを楽しむため知っていただきたい「スポーツとお薬」の関係についてのお話です。

☆汗が出にくくなる薬?
ゾニサミドやトピラマート等の抗てんかん薬には発汗が減ることで体温を上昇させる副作用があります。気温が高いところでの運動や、負荷の大きい運動で熱中症や高熱を起こすことがありますので、服用中は特に早めの休養やクールダウンを心がけましょう。

☆野外スポーツとお薬?
飲み薬や湿布、塗り薬などを使用中 野外スポーツで日光にさらされることで日光に当たった部分に発疹などの副作用が起こりやすくなる薬があります。例えば、メトトレキサート(抗リウマチ薬)、ケトプロフェン(解熱鎮痛剤)・ベンズブロマロン(高尿酸血症薬)、高血圧薬(Ca拮抗剤やACE阻害剤、サイアザイド系利尿剤)、ニューキノロン系抗生剤等です。
特に、痛み止めの湿布での日光過敏症は要注意です。湿布を貼ったままジョギングやテニス、野球などをする方をよく見かけますがケトプロフェンを含有した湿布や塗り薬は、使った後も成分が体内に残っているため一定期間は日光が当たらないように患部を布などで覆う必要があるのです。

☆集中力や注意力の低下が起こりやすい薬?
眠気やめまいなどにより運動能力の低下が起こりやすいお薬があります。
抗アレルギー剤(内服、テープ剤、点鼻薬)、向精神薬、抗てんかん薬、解熱剤、鎮痛剤等多くの分類のお薬で集中力や注意力の低下が起こることがあります。また市販風邪薬やアレルギー薬、禁煙補助薬(チャンピックス)でも過去に交通事故に至ったケースがあります。自転車やスキー、スケートなど衝突を起こしやすい種目を行う際の服用は注意しましょう。

☆糖尿病とお薬?
内服薬やインスリン等の注射薬を使っている方は急な運動などで低血糖を起こすことがあります。空腹時に運動するのはなるべく避けましょう。また、SGLT2阻害薬という血糖降下剤を服用すると尿の量が増えて体内の水分が減少することがあります。脱水を防ぐために、運動中もこまめに水分補給をしましょう。

今回ご紹介したお薬はごく一部です。
当社には「公認スポーツファーマシスト」という最新のアンチ・ドーピングに関する知識を持つ認定薬剤師が複数おり、アスリートのアンチ・ドーピングに関する情報提供を行っています。スポーツにおけるお薬の使用については薬剤師にお気軽にご相談ください。

※全国の公認スポーツファーマシストの検索は下記サイトからできます。
http://www3.playtruejapan.org/sports-pharmacist/search.php

参考資料:
JADA公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構 スポーツやアンチ・ドーピングについて知りたい方|日本アンチ・ドーピング機構 | Japan Anti-Doping Agency (JADA) (playtruejapan.org)

PMDA独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 表2. 使用中は運転等をしてはいけない医療用医薬品の例 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 (pmda.go.jp)

画像:https://www.ac-illust.com/