8月10日は810(ハート)と読めることから、日本心臓財団が「健康ハートの日」と定め、心臓病・脳卒中の予防を目指す啓発活動が行われています。心臓病はがんに続いて日本人の死因第２位となっており、全国で年間約20万人の方が亡くなっています。夏場の心臓病予防キャンペーンにより、冬場に多い発症を予防したいと考えられています。

今回のよもやま話はこの活動にもとづいて、夏の暑さで気を付けたい心臓を守るための6つのポイントをまとめました。

１．水分補給で脱水予防
夏場は高温多湿で、発汗によって体内の水分が大量に失われるため、血液がドロドロになり、血栓ができやすくなります。そのため、心臓に大きな負担がかかることがあります。水分補給をしっかり行い、ドロドロになった血液をサラサラにすることが大切です。
暑い日には、こまめに水を飲むように心掛けましょう。また、お酒やコーヒーなど利尿作用のあるアルコールやカフェインにも注意が必要です。

２．1日3食、バランスの良い食事
夏バテのため食欲が減り、夏は食事が偏りやすくなりやすい時期です。しかし、暑いからといって食事を抜くのはよくありません。食事による水分摂取量が減ってしまうだけでなく、血液に水分を引き留めるのに必要な栄養が不足することにも繋がります。
脱水を起こさないためにもバランスの良い食事を1日3食、しっかりとりましょう。ただし、清涼飲料水（加糖飲料）からの水分摂取は避けましょう。砂糖や人工甘味料で甘くした飲料は、2型糖尿病の発症の増加や動脈硬化による心臓への負担につながります。

３．暑い場所を避けましょう
夏の暑さは、体温上昇や脱水によって体に負荷がかかります。体温が上がると全身の各種臓器にも負担がかかるため、体は体温を下げようと血液をどんどん循環させて熱を発散させようとします。すると、血液循環を司る心臓にも大きな負担がかかります。さらに、血液循環増加のために心拍数が上がり、脱水が加わる心筋梗塞（夏血栓）が誘発されやすくなります。
夏は日差しが強いため、日陰に入り直射日光を避けましょう。また熱い時間帯を避けて行動するのもよいでしょう。また、エアコンや扇風機などの空調設備を使って室温を一定に保つことで体温調節には有効です。

４．しっかり睡眠をとりましょう
暑くて寝苦しい時期でもあります。睡眠不足はストレスや疲れを引き起こし、心臓に負担をかけます。夜間の熱中症や睡眠不足を避けるため涼しい環境を整え、睡眠時間を確保しましょう。

５．入浴での脱水、要注意
汗をかく夏場は、お風呂に入る回数が増える方も多いかもしれません。しかし、熱いお湯や長時間の入浴は脱水を引き起こすため注意が必要です。汗をかく時期でもあるため、入浴の前後はしっかり水分補給を行いましょう。

６．適度な運動で暑さの負けない体力づくり
適度な運動は、心臓の負担を軽くし、血流を良くする効果があり、暑熱順化（体が暑さになれること）が進むことで熱中症対策にもなります。
運動時のウエアは厚すぎ、キツすぎは避けましょう。黒は熱を吸収するため、明るい色のものがおすすめです。水分補給をしながら、涼しい時間帯や環境を選び、無理のない程度で行いましょう。

番外．夏でなくても気を付けたい　毎日の心臓と健康へのこころがけ
健康ハートの日は、心臓病を予防するために、禁煙や適度な運動、バランスのとれた食事などを心がけることを呼びかける日です。
心臓や血管疾患の予防には毎日の食事が大切です。バランスの良い食事の習慣は心疾患のみならず、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧の予防にもつながります。食事について「どうすればいいかわからない」があれば食事の専門家である管理栄養士に相談するのおすすめです。
過度な飲酒は心疾患のリスクを高めます。適量を心がけましょう。
タバコは心臓に大きな悪影響を及ぼします。喫煙は動脈硬化や心臓病のリスクを高める要因となりますので、禁煙することを強く推奨します。個人の力で禁煙が困難な場合は、禁煙外来の受診もおすすめです。

心臓病は予防できる病気です。ぜひ、健康ハートの日を機に、心臓病予防に取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考：
熱中症だけじゃない！夏に気をつけたい「夏血栓」とは (kangoworks.com)
夏の水分補給が脳と心臓を守る　「水を飲む習慣」で予防 (dm-net.co.jp)
健康ハートの日 (kenko810.com)
8月10日は健康ハートの日 (jhf.or.jp)
健康ハートウィーク2022開催のお知らせ (j-circ-assoc.or.jp)
心不全の方の、夏の過ごし方のポイントを紹介！ (cvi.or.jp)
熱中症と脳梗塞（夏血栓） (sagara-cl.com)
心臓病の治療について　日本心臓リハビリテーション学会
画像：健康ハートウィーク2022開催のお知らせ (j-circ-assoc.or.jp)