2023.12.15 健康生活よもやま話

プライマリ・ケア

[執筆者]

八橋佐野薬局 薬局長 髙橋 孝一

皆さんはプライマリ・ケアという言葉を聞いたことはありますか?
簡単にいうと、体調を崩したときに最初に受ける医療のことです。これは、医療を受ける側と提供する側をスムーズで適切につなぐ医療供給で、緊急ではなく重大な状況ではない場合に受診する「かかりつけ医」、または「総合診療医」から受ける医療と言えます。

米国国立科学アカデミーでは、「プライマリ・ケアとは、患者の抱える問題の大部分に対処でき、かつ継続的なパートナーシップを築き、家族及び地域という枠組みの中で責任を持って診療する臨床医によって提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである」と定義されています。

日本プライマリ・ケア連合学会ではその特徴を表す理念をACCCAとして提示しています。
Accessibility(近接性)かかりやすさ
Comprehensive(包括性)予防から治療まで全人的且つ全科的医療
Coordination(協調性)専門医、チームメンバー、住民との協調と社会的医療資源の活用
Continuity(継続性)継続的に、医療、福祉、介護、保健を提供 ゆりかごから墓場まで
Accountability(責任性)医療内容の監査システム 医療者の生涯教育と後進育成

総合診療として、これは病院と患者様の関係だけでは成り立たない仕組みです。
プライマリ・ケアにあたって、複数の医療機関に受診すると治療の併行が生まれ、双方医療機関の連携が必須になります。この繋ぎの役目として、かかりつけ薬局、薬剤師が重要になってくると考えられます。日本プライマリ・ケア連合学会にはプライマリ・ケア認定薬剤師という制度もあります。現在の地域医療は多職種との連携・協働なしには成り立ちません。地域医療実践の担い手として薬剤師も期待されています。

身近なかかりつけ薬局が患者様の治療を一元管理し、適切に医療が提供されるように併用薬など患者様同意のもと双方医療機関、医師へ情報を提供など行います。
薬局の役割も特定医療機関型ではなく地域医療の完結・依存型へ移行していかなければなりません。ご利用いただく患者様の総合医療のサポートとして薬の専門家だけではなく、医療機関を含め、介護や福祉など総合的な相談窓口としての役割を担っていきます。

参考
日本プライマリ・ケア連合学会 https://www.primarycare-japan.com/about.htm
米国国立科学アカデミー https://www.nasonline.org/
画像:いらすとや https://www.irasutoya.com/p/figure.html