2024.02.21 健康生活よもやま話

日光浴と春の紫外線

[執筆者]

銀河薬局本店 薬局長 朝賀千春

暦の上では春を迎えて日照時間も徐々に長くなってきています。春の暖かい日差しに誘われ、日光浴を楽しむ方も多いでしょう。日光を浴びると、セロトニンという物質が脳内で生成されます。
セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれることもあり、脳の興奮を抑え心身をリラックスさせる効果があります。セロトニンによって自律神経が整い、ストレス解消や睡眠の質を上げるなどの効果も期待できます。朝に15~30分程度、軽く体を動かしながら日光を浴びるとより効率的にセロトニンを増やすことができます。
また日光浴により紫外線を浴びると、体内でビタミンDが作られます。ビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を助け、歯や骨を強くする、血液中のカルシウム濃度を調節する、免疫機能を向上するなどの働きがあります。
ところで、紫外線は暑い夏の時期だけでなく春も気をつけたい、ということをご存じでしょうか。紫外線が最も強くなるのは6月~8月ですが、1年のうちでは春から初秋にかけて強くなります。4~9月の紫外線量は、1年間のおよそ70~80%になるそうです。
紫外線は私たちの健康保持に重要な働きをしている一方で、過剰な紫外線は日焼けやシミ、ソバカスの原因となる他、皮膚がんや紫外線角膜炎のリスクを増加させる危険もあります。長時間外出する際は、夏を待たずに春から紫外線対策をしていくことが大事です。

紫外線対策としては、次のようなものがあります。
➀帽子や日傘、手袋を利用する
皮膚に紫外線が当たらないようにする対策です。UVカット効果のあるものを使うとさらに効果的です。帽子や日傘は、目から入る紫外線の量を減らすこともできます。目から紫外線が入ると、シミやソバカスの原因となるメラニンが生成されます。目からの紫外線対策としてはサングラスも効果的です。
➁日焼け止めを塗る
衣類で覆うことのできない部位には日焼け止めが効果的です。日焼け止めには、リキッドやクリーム、乳液等の色々なタイプがあります。また、SPFやPAで表示される日焼け止め効果も、様々な強さのものが市販されています。紫外線の強さやご自身の生活スタイルに合わせて選択できます。日焼け止めの使用で大事なことは、説明書に書かれた量を丁寧に塗ることです。塗る量が少なすぎたり塗りムラがあったりしては効果が十分に発揮されません。また、汗をかいたあとにはきちんと塗りなおすことも必要です。
適切な紫外線対策をして、暖かい春の日差しを存分に楽しみましょう。

参考資料:
環境省 紫外線環境保健マニュアル2020
https://www.env.go.jp/content/900410651.pdf
高槻市 幸せホルモン・セロトニンを増やして心と体を健康に
https://www.city.takatsuki.osaka.jp/site/masugen/86751.html
医療社団法人平成医会 セロトニンの増加が心身に及ぼす効果
https://heisei-ikai.or.jp/column/serotonin/
健康長寿ネット ビタミンDの働きと1日の摂取量
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-d.html
イラスト:illustAC:https://www.ac-illust.com/