2024.07.02 健康生活よもやま話

漢方薬と副作用

[執筆者]

佐野薬局赤沼店 薬局長 瀬川卓哉

漢方薬というと、副作用も無く安全で、安心して使えるとお考えではないでしょうか?
一般に漢方薬は効き目が穏やかで、副作用は少ないと言われておりますが、薬である以上は副作用が存在します。薬を飲む量が多くなった場合や、長く飲み過ぎてしまった時に出ることもあります。では、どのような副作用があるのでしょうか?漢方薬の成分となっている生薬別に例を挙げてみます。

1、附子(ブシ)
体を温めたり、痛みを軽減させたりする生薬ですが、動悸、舌のしびれなどが出てくることがあります。
・配合されている漢方薬:真武湯、牛車腎気丸、八味地黄丸など

2、麻黄(マオウ)
咳を落ち着かせる、利尿作用、解表(げひょう)と言い、悪い物を発散させる作用がありますが、不眠、動悸、血圧上昇、排尿困難などが出てくることがあります。
・配合されている漢方薬:葛根湯、麻黄湯、小青龍湯、麻黄附子細辛湯など

3、甘草(カンゾウ)
他の生薬との調整役をしたり、お腹の調子を整えたり、腹痛、痙攣、痛みなどを緩和させる効果がありますが、浮腫みや血圧上昇などが出てくることがあります。
・配合されている漢方薬:多岐にわたり、様々な物に含まれている

4、山梔子(サンシシ)
胸のつかえやイライラを落ち着かせたり、余分な熱を冷まさせたり、炎症を抑えたりする作用がありますが、腸間膜静脈硬化症という腸間膜が硬くなり、血流が滞る疾患を引き起こす事があります。
・配合されている漢方薬:加味逍遥散、防風通聖散、黄連解毒湯、温清飲など

このように、漢方薬だからと言って副作用が無いわけではありません。上記で紹介した他にも種々の副作用が報告されています。また、複数の生薬が組み合わされているので、原因が分かりにくいということもあります。医療用医薬品だけではなく、一般用(OTC)医薬品にも漢方薬があります。また、漢方薬の名前が付いていなくても生薬が含まれている薬もあります。気になることがありましたら、お近くの薬剤師にぜひお問い合わせください。

参考:
医薬品情報学 16(1): 16~22 (2014)
ファルマシア 56(3): 198~202 (2020)
画像:
いらすとや https://www.irasutoya.com/